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初心者向け:配信で一眼カメラを使うってどうなの?

今回のテーマはライブ配信で使うカメラのお話。一眼カメラを使うのは、配信としてはどうなのでしょうか。

このテーマは、定期購読マガジンのZoomオフ会でいただいた内容です。オフ会で出た意見も踏まえながら、今回は改めて初心者向けに内容を整理してみました。

配信で一眼カメラを使うことに興味があった方は、ぜひご参考になればと思います。

この記事は2022/4/26に定期購読マガジンで公開した記事を再編集したものです。多くの方にご覧いただいているため、無償公開することとなりました。最新の内容と異なる場合がありますのでご了承ください。

そもそも一眼カメラとは

本題に入る前に、そもそも「一眼カメラ」ってなんでしょうか。

逆に一眼カメラではないものは「コンパクトデジタルカメラコンデジ」が挙げられます。

最近では技術進歩でスマホもコンデジと変わらなくなってきました。特にAI活用はスマホに長があり、見方によってはコンデジよりもスマホの方が優れているとも言えます。

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コンデジの例:SONY ZV-1
出典:SONY

一方の一眼カメラの特徴は、コンデジやスマホに比べてイメージセンサーが大きいことが挙げられます。

イメージセンサーとは光を受け取りデータに変換する部分です。簡単に言えば、ここが大きいほど映像情報が増える=綺麗な再現性の高い映像になります。

例えば、カメラによってセンサーサイズはこんなにも変わってきます(下画像)。一眼レフはこの中で言うと、「Full Frame」「APS-C」「4/3」のサイズが多いですね。

ただ、最近は1インチセンサーを搭載するスマホも出てきました。この辺りは技術進化と共にこれからも変わっていく部分です。

もう一つ一眼カメラの特徴にレンズ交換のシステムがあります。

大抵の一眼カメラはレンズを交換することができ、レンズごとに特色のある撮影が可能です。これにより幅広い表現ができるのは強みですね。

表現力や広角・望遠に加えて、やはりボケみもあります。いわゆる「絞り値」の低いレンズを使うことで、ボケみの強い映像に仕上げることもできます。

とは言え、最近のスマホはAI処理でボケみの演出を加えて来ています。この辺りも、いつか変わっていく可能性もありまね。ただ、現状では一眼カメラの方が、表現力の幅は広い印象です。

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一眼カメラの例:Panasonic LUMIX DC-GH5
出典:Panasonic

「一眼レフ」と「ミラーレス一眼」がある

実は一眼カメラにも2種類あることをご存知でしょうか。

カメラに慣れた人にとっては常識だと思いますが、配信初心者の中には知らない方も多いかもしれません。実は私もその一人でした😂笑

「一眼レフ」は内部に反射鏡があり、レンズから入った絵をそのまま光としてファインダーに投影します。そのため遅延なく確認ができ、今もなおシビアなプロの現場ではニーズがあるようです。

ただし、構造上どうしてもカメラが大きくなることもあり、最近は技術進化とともにミラーレス一眼の方が主流になりつつあります。

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一眼レフカメラの構造

「ミラーレス一眼」は、その名の通り内部の反射鏡を省いた構造です。光は映像データに変換されており、ファインダーの映像もモニターに映したものになります。

やはり筐体を小型軽量化できるのが大きなメリットですね。

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細かな点ではありますが、ここを混同してYouTubeのコメントでご指摘を受けたことがありました。知っておいて損はない情報かと思います!

開発停滞のビデオカメラ

そんな一眼カメラですが、ライブ配信での利用を考える方も多いのではないでしょうか。やはり、より綺麗な映像を撮りたいのなら一眼カメラに分があると思います。

これはセンサーサイズやレンズもありますが、製品開発が停滞している状況もあります。ビデオカメラ市場は縮小の一途を辿っており、メーカーも積極的な開発を行なっていない印象です。

ある調査によれば、2018年から3年間でビデオカメラの販売台数は3割程度に減ったとのこと。デジタルカメラも減っていますが、Vlogブームなどもありまだ健闘している様子が伺えます。

最近はデジタルカメラの動画機能強化の流れもあり、ビデオカメラの新製品があまり出づらいことも理解ができますよね。

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引用:「デジカメ市場低迷の戦犯は4K動画非対応の製品だった」(BCN+R

先日久々にSONYが4年半振りに民生用ビデオカメラの新モデルを発表しました。

一瞬期待が高まったものの、蓋を開けてみれば旧モデルのマイナーアップデート版だったと言うことがありました。

現在の開発リソースはデジタルカメラの方に集中されていることを、あらためて感じたニュースでしたね。。

業務用カメラ、シネマカメラなどは新機種も出ていますが、初心者向けの内容から離れるためこの記事では触れていません。

一眼カメラは映像演出性が高い

一眼カメラとビデオカメラを比べると、やはり映像が綺麗だと感じるのは一眼カメラです。ボケみもさることながら、そもそも映像としての滑らかさを感じます。

この滑らかさは、まさにセンサーサイズの大きさによるものだと思います。一般的な民生機のビデオカメラだと、大きくてもセンサーサイズは1インチです。一方で私が使っている一眼カメラはフルサイズなので、取り込める情報量が違うのです。

自分の映像で恐縮ですが、こちらはYouTubeのアーカイブ映像をキャプチャしたものです。noteにアップして更に画質は下がっていますが、それでも全体の綺麗さの印象はあるのではないでしょうか。

7/10 ライブざつだんLIVEより

もちろん、これはカメラの機種や照明の当て方、またレンズによっても変わる部分です。ただ、やはり民生機のビデオカメラや、それこそスマホではこういった雰囲気は出せないですね。

ただ、これは演出性の問題です。ライブ配信にこんなにボケみが必要かと言えば、そうではない配信も多いと思います。過度なボケみは見づらさにも繋がりますね。

現行のビデオカメラでも、配信で使う上では十分な映像クオリティがあります。センサーサイズが小さいと暗所はノイズが出やすくなりますが、明るささえ十分にあればビデオカメラでも問題ない映像になります。

この辺りは、どのような映像で配信をしたいのかが大事だと思いました。

排熱が心配な一眼カメラ

また、演出性を高めたいとしても、一眼カメラを配信で使うことは、手放しでオススメできる訳ではありません。

映像は綺麗ですが、やはり本来はスチル写真を前提とした筐体です。ビデオカメラに比べて小型なため、排熱が間に合わず強制終了する可能性もあります。

やはりライブ配信は何時間にも渡って使いますし、状況によっては録画しながら使う場合もあります。電源供給も必要ですよね。

そうなると、本体の温度が高まってしまい、途中で熱暴走を起こす。そんな事例は少なくありませんし、自分も苦い思い出が蘇ってきます…😂

排熱を意識した一眼カメラ

しかし、一眼カメラの中にも長時間の撮影を意識して、排熱構造が強化されているものもあります。

排熱は大きく2つのタイプがあるので、順番にご紹介をします。

アクティブ方式

「アクティブ方式」で冷却するカメラは、本体にファンを内蔵しています。能動的に排熱を促すため高い排熱効率が期待できます。

ただ、これを搭載しているのはかなり動画撮影を意識した機種です。そのためエントリーモデルというよりは、お値段高めの機種になってしまうと思います。

例えばSONYのFX3、PanasonicのGH6やBGH1などがアクティブ方式を採用しています。

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出典: SONY FX3

パッシブ方式

もう一つの「パッシブ方式」は、ヒートシンクや内部構造の工夫で排熱を促します。ファンに比べれば排熱効率は下がると思いますが、それでも市場では評価を得ている機種もあります。

例えばPanasonicの「Gシリーズ」は、愛用しているライブ配信家も多い印象です。最新機種のGH6ではアクティブ方式となりましたが、今も現場ではパッシブ方式のGH3やG8も活躍している声を聞きます。

Gシリーズはセンサーサイズが「マイクロフォーサーズ」というタイプです。これは一眼カメラの中では小さめなセンサーですが、その分レンズが比較的安価なメリットもあります。その点でもGシリーズは人気な印象です。

ズームはビデオカメラに軍配が上がる

一方でビデオカメラには、軽快なズーム操作のメリットもあります。

一眼カメラでズームをするには、そもそもズームレンズが必要です。またレンズを回しての操作が必要ですし、レンズの回転も引っ掛かりや重さが変わることがあります。

一方のビデオカメラはズームが前提の機種で、操作もレバーを押すだけで簡単です。ズーム速度が調整できる機種も多く、状況に合わせて誰でも簡単にズームができると思います。

一眼カメラも「パワーズームレンズ」などやズームモータを使うことで、近い操作を実現することもできます。ただ、それならばビデオカメラで良いシーンも少なくないと思います。

やりたい配信に合わせた選択が必要

やはりライブ配信の観点では、ビデオカメラの方が安定性では勝ります。どなたにもオススメできるのはビデオカメラの方ではないでしょうか。

ですが、やはり一眼カメラはその演出性の高い映像が大きな魅力です。そのメリット/デメリットを理解して、リスクに備えれば、配信を彩る演出の1つになってくれるはずです。

やはりどのような配信がやりたいのか、という前提が大事な気がします。ぜひ配信に合わせて、カメラを選択いただくご参考になれば嬉しいです^^

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